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コラム/ データ活用に関する一考察 第3回

中小企業診断士 福田 美詠子
2.データ活用の7つの型とは
(2)詳細③~⑥

◆③家庭科型は、1取引ずつのデータから個別化した具体的対応を導く

 何人もいるお客様のなかで1人を特定し、今お望みの対応をご提供するのは、日々の献立を考える調理、家庭科の発想に通じます。献立を決めるには、手に入る食材や栄養・予算といった作り手側の事情はもちろん、前の日の献立や好みや体調といった食べる側の事情も考えます。顧客対応でも、やりとりやニーズ・状況等を知っていれば、売上や顧客満足につながります。  自社との付き合いの種類や度合い・段階によって対応を分けていくことが大事で、その判別とアクセス先特定のために顧客データを使います。献立が毎食フルコースではないように、自社の資源は限られていますし、お得意様とお試しの方では自社に求めることが違っていてふさわしい対応があります。RFM分析でお客様のお付き合いを分類してクーポンやポイントサービスをご用意する、耐久消費財なら購入後〇年目のお客様にフォローを入れる、などです。データを複数の項目で持つと組合せが大きくなるので、それを元に具体的対応を設計し、お客様からみてパーソナライズされた対応を目指します。

◆④理科型:非定型の問いにデータ分析で答えていこうとする

 早く走るために「どんなメカニズムか」「どんな食べ物がいいか」など、非定型の問いを投げかけ、客観的な事実を基に対象物の構造や現象の原因を深く理解していこうとするのが理科のアプローチです。その手法を経営などに適用し、データを分析して仮説検証のサイクルを回し、発見をしていくのが、④理科型となります。
 問いを立てるスキルが求められます。「なぜ生産性が低いのか」など、日頃から問題意識を持ち、他社の動向や他業界の経営手法にも目配りしましょう。自社の課題に仮説を設定し、社内外から必要データを集めて検証し、仮説を更新して次の仮説検証を行ないます。
 最近は、仮説を検証するデータに簡便にアクセスし、ハンドリングできるかという点の重要性が高まっています。なぜなら、ビッグデータを保有する海外勢などが、同じ問いから出発しても検証をどんどん進めていって、次の仮説設定段階に到達するスピードに差がつくためです。

◆⑤芸術型:データで新しい品を作っていく

 絵をPCで描くのは、画像データを作ることと同じです。絵に限らず、文字・音声・立体など、媒体を介してデータで表現するのが、⑤芸術型です。
「活用」と呼ぶことに違和感があるかもしれませんが、紙に手書きで描いたアナログの絵と違い、データで作ればコピー&ペーストやアンドゥで編集ができます。これは自分が過去に作ったデータを活用して、描き直しを簡単にしているわけです。文書のテンプレートを共有したり、サンプルデータをダウンロードしたり、部品化したり、手軽にスキルの底上げと生産性向上が可能です。
 データの表現力が上がっており、漫画をアニメ・ゲームへと転用するなど、同一コンテンツを複数の媒体に展開することも盛んです。
 有形の新商品開発でも、実際に作って発売する前に、プロトタイプやVRによってトライ&エラーをすることで、生産性が向上します。さらには自分の分身であるアバターを作って、服の試着をしたり、いながらにして遠方のイベントに参加したり…、今までになかったサービス開発につながります。

◆⑥数学型:データでモデルを作り、計算して結果を推定する

 文章題から式を立てることが出発点で、AIへと発展しています。特徴は、対象の扱い方・手法そのものを分析対象として設定し、抽象化・一般化する点にあります。量的な増減に注目して足し算・引き算や掛け算として扱えば、森羅万象に適用できるようなものです。
 機械の故障、商品の需要、株価の値動きなどについて、数式の組合せ方を評価してモデルを作り、現実になる前に推定します。さらに、モデルを改良して推定の精度を上げていきます。モデルの改良そのものを自動化するとAIになります。
 各教科に数字と数式が取り込まれているように、抽象化・一般化されているため、①から⑦のどのデータ活用型にも組合せができ、高度化できる可能性があります。すでにAIの機能は、予測・判別・分類・探索・推論、その対象は、音声・画像・言語・機械・生体と、汎用的な領域に及んでいます。AIはブラックボックスなので説明しにくいという声がありましたが、最近は決定理由を提示できるXAIも出ています。
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