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コラム/ 「内部監査の利活用による生産性向上」第二回

―稟議書の監査から内部統制による改善事例―

中小企業診断士
塩見 之郎

1.稟議書の監査から内部統制の改善事例

(1)背景

 B社は創立6年目のサービス業の中小企業です。創立から順調に事業を営み、お客様も増加し、それに伴い社員も増員してきています。新しい社員が増えたことにより、経費精算処理、稟議処理などの事務処理が膨大になった結果、承認、決裁にかかる時間が長くなったこと、稟議の提出条件を知らず事後承認になる場合があること等の問題が散見されていました。
 このような現状を踏まえるとともに、コンプライアンスの観点を含め内部監査を実施することとなりました。

(2)改善事例

監査結果の改善事項
 監査結果の改善事項は下記のとおりです。



(3)改善後の成果
 一年後には下記の結果となりました。


2.まとめ

 今回は、ワークフローシステムを導入することにより、業務プロセスをIT化して、大幅な生産性向上を実現しました。IT化と言っても、パッケージソフトによるライセンス料も低価格でスマホでも対応できるものを導入しました。(最近は低価格でも質の良いソフト・アプリが出てきています) また、システム化することにより、内部統制強化を図ることも同時に実現できました。システム化成功のポイントは、業務プロセスにおける5W1Hの作業内容と権限の明確化に始まり、その業務の見直しを実施すること、経営トップから社員に至るまでシステム化に対して納得したプロジェクトとして進めることがキーとなったとプロジェクトリーダーからお聞きしました。

3.内部監査の利活用による生産性向上に向けて

 三回シリーズで、内部監査や内部統制のアプローチから業務プロセスの見直しによる生産性の向上の事例を紹介してきました。
 内部監査や内部統制と生産性向上は、内部監査を改善すれば、手間がかかり生産性を阻害するのではないかなど、トレードオフの関係と考える人が多いかもしれません。しかし、事例で紹介しました通り、改善の効果は両立するものです。そのポイントは、内部監査や内部統制の目的は、業務プロセスの有効性と効率性を向上することを重要視していることです。
 審査を実施する側、監査を受ける側、また、経営層から社員まで、上記目的を成しえる結果としての生産性向上をしっかりと意識して、監査に臨んでみてください。
以上
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