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コラム/ 国内事務機メーカー等の中堅小規模企業向けITソリューション動向

中小企業診断士
梅北浩二

1、現状の動き

 日本の中堅小規模企業の生産性向上の実現には、ITの活用は必須となってきている。生産やレジなどの現場/フロントラインでのIT活用は徐々に進んできているが、伝票処理など各種ドキュメントの作成/再活用が必要な事務バックヤードでのIT活用は不十分なレベルにあり生産性向上の足かせとなっている現状もある。
 こうした課題を解決していく第1ステップとして、事務機メーカーが提供し始めているITソリューションを適切に導入活用することで、中堅小規模企業の生産性向上を推し進めることが可能になると思われる。
 一方で、アウトソーシング的に全てを恒久的に任せてしまうという方法もあるが、自社で、業務プロセス全体を通した自社に適した生産性向上策を検討導入できる力を付けるため、社内のITに興味を持っている人材にジョブシャドウイング的な動きをさせて、自社内にブリッジSE的な人材の育成の取り組みを行うことも必要と思われる。
 以下、事務機メーカーの中堅小企業向けITソリューション動向の中で、どのようなITソリューションを提供し始めているかを各社のHP等から収集した動向を紹介する。

2、業界の全体的動き

 働き方改革/情報セキュリティー/煩雑なIT構築管理など中堅小規模企業を取り巻く環境が変化している中、それに対応する上で必要となる人材の確保が難しい中堅小規模企業の課題を攻めどころと捉え、各社サービスにて解決をする方向で事業展開を図っている。
 例えば、有力な他社商材をラインアップに加えた上で、自社製品や自社サポートとの連携を行い、ワンストップで中堅小規模企業の課題や悩み事を丸ごと解決するパートナーとしての認知向上を図ろうとしている。その上で、重点業種を定めた業種業務ソリューションにも注力している。
 一方、社会的課題になっている情報セキュリティーに関しては、ディファクト商品を含めて取り揃えるとともに、顧客のニーズや変化に対応するため、自社での高度セキュリティー人材の確保を急ぐなど先を見据えた動きも加速している。

3.個別企業の動向

(1)キャノンマーケティングジャパン

 安心と効率化を軸においた中小オフィス向けIT支援サービス「HOME」を展開している。現在以下の4領域毎に、月額課金型で複数のサービスをワンストップで提供している。

① ワークスタイルの変革
・スマートデバイスの浸透で、大きく変革するワークスタイル。
・モバイル環境でのビジネスニーズに応えるクラウドサービス。

② 業務の効率化
・スピードと正確性が求められるビジネス・コミュニケーション。
・場所を選ばず、情報共有を可能にするグループウェアサービス。

③ リスクマネジメント
・社内ネットワークが日々直面している新たなリスクから貴重なIT資産を守るセキュリティサービス

④ ITインフラ&サポート
・業務に大きな影響を与えるネットワークトラブルによるダウンタイム。
・専門知識が必要なIT管理をリモートで簡単にクラウドを活用するための支援。

(2)リコージャパン

 生産性向上の障壁となっている紙ドキュメントを新しい世代の複合機でデジタルデータ化し、多種多様な業種・業務に対応したクラウドサービスと連携することで、業務プロセス変革を支援している。
 同社のHPによると、成長事業と位置付けるICT事業にプリンタ事業を組み入れ、機器、アプリケーション、サポートなどを組み合わせたソリューションを提供してきた。2017年10月にはオンプレミス型の「スクラムパッケージ」をリリースし、2019年1月にはクラウドソリューションとして「RICOH Intelligent WorkCore」の提供を始めている。今回のクラウドプラットフォーム「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES(EDW)プットフォーム」はIntelligent WorkCoreをベースにしたものである。
 スクラムパッケージでは、製品、サービス、サポートなどを業種、業務に適合させたパックを複数用意している。一方、EDWプラットフォームは、各種コンポーネントを自由に組み合わせることができる。

(3)大塚商会

 総務、人事、財務、情報システムなどの領域において、ITの活用のみなならず、中堅小規模企業の様々な業務を総合的に支援するサービス&サポートとして「たよれーる」を展開している。定型業務のBPOサービスまでカバーしている。“お客様の抱えるさまざまな経営課題をワンストップで解決します”を前面に出し事業を展開している。

(4)富士ゼロックス

 富士ゼロックス株式会社は、独立行政法人情報処理推進機構が公募する「中小企業向けサイバーセキュリティ事後対応支援実証事業」(サイバーセキュリティお助け隊)の採択事業者として、担当する長野県、群馬県、栃木県、茨城県において、2019年7月より実証事業を開始している。実証事業期間中は、サイバーセキュリティ対策を支援する富士ゼロックスのサービス「beat」を100社以上の参画企業に導入する。

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